実績・事例

「前例がないから無理」と言われたところから、制度の根拠を確かめ、正規の窓口に確認していった2つの事例を紹介します。どちらも、誰かと対立して進めたものではありません。

事例1/2026年

サドル長35cmを超える車両の、型式申請が受け付けられなかった。

状況

2026年、長尺のサドルを備えた電動アシスト自転車について型式認定を申請しようとしたところ、試験機関から「サドルの長さが35cmを超える車両は受け付けられない。申請時には35cm以内にしてほしい」と求められました。

長尺サドルは、この車両の設計の核となる部分です。条件どおりに短くすれば、車両の性格そのものが変わってしまいます。当社はまず、この「35cm」がどこから来ているのかを確かめることにしました。

経緯

  1. 「35cmを超えるので受け付けできません」試験機関から、サドル長が35cmを超える車両は、申請時に35cm以内にするよう求められました。
  2. 根拠となる基準を調査根拠は、警察庁が定める普通自転車の型式認定の基準でした。これを駆動補助機付自転車に当てはめる理由や、道路交通法 第57条第2項と都道府県の規則との関係も調べました。
  3. 管技協へ確認公益財団法人 日本交通管理技術協会(管技協)に確認したところ、警察庁の指導にもとづく運用であるとの回答でした。
  4. 国会議員経験者を通じて警察庁へ照会基準そのものに関わる問いであるため、国会議員経験者を通じて、警察庁に照会しました。
  5. 警察庁が考え方を説明警察庁から、35cmは普通自転車の型式認定における試験方法であり、この基準に適合しないことが、直ちに道路交通法違反になるわけではないとの説明がありました。(※駆動補助機付自転車としての基準は、別途満たす必要があります。普通自転車に当たらない場合は、歩道を通行できないなどの違いがあります。)
  6. 管技協が受付の運用を整理管技協は、駆動補助機付自転車のみとしての申請については、個別に判断し、警察庁の見解を確認したうえで受け付けると整理しました。普通自転車と併せて申請する場合は、従来どおりの扱いです。
  7. 管技協が外観図を警察庁へ送り、確認管技協が申請予定の車両の外観図を警察庁へ送り、駆動補助機付自転車としての申請であれば問題ないとの回答を得ました。
  8. 書類が揃ったモデルから、型式申請の受理へ管技協から、必要な書類が揃ったモデルから型式申請を受理するとの連絡があり、多数のモデルが申請の受付へ進みました。

誰かと喧嘩をして突破したわけではありません。制度を一つずつ確認していった結果、適切な道筋が見つかりました。

この事例の現在地

ここでいう「受理」は、型式申請が受け付けられたという意味であり、型式認定を取得したわけではありません。これから試験に臨む段階です。

この事例で当社がしたこと

  • 「受け付けられない」の根拠を、基準の文言までさかのぼって確認した
  • 試験機関に運用の根拠を確認し、制度の問いは所管の行政機関に照会した
  • 確認の過程を記録し、関係する機関が同じ前提で判断できるよう整理した
事例2/令和4年(2022年)

兵庫県で、タンデム(二人乗り)走行ができるかを確認した。

着眼点

自転車に何人まで乗れるかは、道路交通法 第57条第2項にもとづき、各都道府県の公安委員会が規則で定めています。つまり、二人乗りの扱いは全国一律ではなく、都道府県ごとに異なります。

調べたこと

令和4年(2022年)の確認時点で、兵庫県道路交通法施行細則(兵庫県公安委員会規則)第7条第1号ア(オ)は、「運転者以外の者の用に供する一の乗車装置を備える自転車」について定めていました。この規定には、後ろの席にペダルを備えることは要件として書かれていませんでした。

確認したこと

令和4年(2022年)、車両の構造を示したうえで、当時の国会議員を通じて警察庁と兵庫県警察に確認しました。

回答

兵庫県内では、運転者用とは別に乗車装置を備えた自転車であれば、二人乗りで公道を走行できる。ペダルの数に制限はない。
ただし、個々の車両の座席が「乗車装置」に当たるかどうかは、兵庫県警察が個別に判断する。

実施したこと

この回答を踏まえ、型式認定を受けた電動アシスト自転車をもとに、二輪車の保安基準を参考にした後席(グラブバーに相当する荷台と、タンデムステップ)を装着した車両を用意しました。
※後席を備えた車両は、普通自転車には当たらない場合があります(歩道は通行できません)。

その後につながったこと

このとき法令の構造を確かめた経験が、2026年のサドル長35cmの問題で、根拠を調べ照会を進める際の土台になりました。

※二人乗りの可否は都道府県ごとに異なります。この確認は兵庫県内での扱いについてのものです。また、個々の車両が「乗車装置」を備えているといえるかは、兵庫県警察の判断が必要です。規則は改正されることがあります。最新の扱いは兵庫県警察にご確認ください。

「前例がない」の先を、確かめに行く。

2つの事例で当社がしたことは、特別な交渉ではありません。基準や運用がどの法令にもとづき、何を確かめるためのものなのかを調べ、正規の窓口に一つずつ確認しただけです。

「前例がないから無理」と言われても、そこで終わらせない。私たちは「手続き屋」ではなく、「制度と技術の橋渡し役」でありたいと考えています。

型式認定の取り組みは、Zaki's Garage ブログでも発信しています。

同じような壁の前で、止まっていませんか。

「受け付けられない」と言われた理由が分からないときも、まずは状況をお聞かせください。根拠の確認から始めます。

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